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帰りたい女
「実家に帰りたい」 ぼんやりとそう思った。
別に今の暮らしがいやになったわけでも、親が恋しくなったわけでも、田舎の空気を吸いたくなったのでもない。
なんとなくだるくて、(寝込むほどでも医者に掛かるほどでも仕事を休むほどでもなく「少し」体調がよくない、というのが3日ほど続いている)、なにをするのも面白くない。

今朝は会社を休もうか迷ったけれど、休んだところでぼんやり座っているだけだと思って家を出た。だらだらと化粧をしたので眉毛を描くのを忘れてしまった。
白目が赤く腫れていて、涙がにじんでくる。

「実家に帰りたい」と言ったけれど、考えてみたらそれは違っていて、帰りたいのは、あの、ひとり暮らしの狭い部屋なのかもしれない。
わたしひとりが暮らすのにちょうどいい、あの居心地のいい狭い部屋に帰りたいのだと思う。あそこでしばらくぼんやりしたら元気になって戻ってこられそうな気がする。反対に、あそこでしばらくぼんやりしたら、もうここから出たくない、どこにも行きたくないとなるかもしれないけど、どちらにしてもあの場所に戻ることはもうできない。

ひとりになりたいのか、と考えるとそんな気もするし、そうじゃないようにも思える。だけど、たとえばひと気のない海岸、たとえば山の麓の湖、たとえば見晴らしのいい丘の上、そういうところにひとりで立っているところを想像すると風がすうと抜けるような涼しい気持ちになる。
まっすぐに伸びる道路を何も考えずにただ走るところを思い浮かべるのも悪くないが、わたしは車の運転ができない(10年近くハンドルを握っていない)。


ひとりになりたいのかしらねえ、とぼんやり思いながら、同時に夕飯のことを考えている。今日は白菜とうどんと豆腐を買って帰る。猫の餌はまだあっただろうか。
家に帰ったら、もらったまま放置している、アレルギーに効くらしいサプリメントを飲んでみると決める。思い込み効果でなんとかしてみようか。
酔う女
乗り物に酔います。
小さい頃から乗り物酔いしやすい体質で、おとなになって(自分で自動車を運転するようにもなり)(今は9年ペーパーです)ある程度改善したのですが、やっぱり酔います。最近また酔いやすくなった。

車の場合は、居住性が高いものほどなぜか酔う。スー…って音も静かに走るセダン、とかそういうのがあかん。居心地のいい車はだめ。電気で走るやつとかだめ。
高い声を上げて走る軽トラとか、2トントラックとか(背もたれが垂直)、なんかやたらタイヤのでかい車とか、建具屋のワゴンとか(イメージです)、道路の凹凸を尻が全部吸収するようなやつとか。あとはすごく古い車とか(ハンドルをぐるぐる回して窓を開けるタイプ)(シートが薄い)、そういうのだったらまあまあだいじょうぶ。トラクターとか全方向が開放されているのでああいうのが理想ですね。屋根がない車とかいいかもしれない。バスはまあまあだいじょうぶ。でも路線バスは車内が臭いのできもちをしっかり持っていないと飲み込まれてしまいます。

ほんで自動車だけじゃなくて電車にも酔うんよね。飲み会の帰りとかはだいたい酔う。酒は飲まないので酒酔いはしないんだけど、夜遅い時間でおなかがいっぱいのときはだいたい電車に酔う。食べすぎ飲みすぎがあかんのだと思うけど。

最初はぼんやりした頭痛と吐き気。気付かないふりを決め込む。そのうち胸のあたりに空気のかたまりを感じて汗がにじんでくる。
食事のときに水分をたくさん摂る癖と外で食事をすると腹を壊す癖があって、ちょうど電車に乗る頃に尿意・腹痛という形にかわる。それが酔いといっしょになって襲ってくるときなんかは、あー今日ここで(ものすごい醜態をさらして)しぬのかなーと思います。

優先席が空いている、けど座らない。優先席に座ったら負けだから。
(やばいやばいやばいヤバイ…!次の駅で降りたほうがいい、ぜったいそうしたほうがいい、ちょっと座って休んだほうがいい、トイレにいって落ち着け…!)、でも降りない。途中下車したら負けだから。
けっこうつらいのにまったくいみのわからない「負けたくない」気持ちが自らを追い込む。いったい誰に負けるというのか。呼吸が乱れて、あついのかつめたいのかわからない汗がじわじわとにじむ。

昔みた志村けんのコント(電車に乗る酔っ払い)(マジでゲボ出る5秒前)を思い出しながらゆっくりと息を吸う。路線図を眺める、あと8駅、あと6駅…。文字を読んだことと姿勢を変えたせいでまた気分が悪くなる。

大きくあたたかな手がわたしの腹をやさしく撫でさするイメージ。丹田が光るイメージ。レモンとミントのはじける香り。高原の朝。アルプスの天然水。小泉幸太郎(とくに好みではないが顔つきがすっきりしている)。冬の小鹿。夜の灯台。夜明けの汽笛。無音。
そういうものであたまのなかをいっぱいにしてなんとかごまかす。
優先席と思っていたのが、車両の端っこの普通の席であったことに気付く。
座れたところで安心はできないのだけれど、「座れたからにはだいじょうぶに違いない」と強く強く思い込む。

そんな感じでいつもたたかっています。ぜったいに負けられない。ほんで電車酔いの頭痛が次の日にも残ることがあるんだけどそれって二日酔いやん、ということに今これを書きながら気付きました。気付きましたがまったくおもしろくないですね。それではさようなら。
送る女
真っ白なメールが届いた。
登録していないアドレスからのもので、件名にも本文にもなにも書かれていなかったけれど、それが昔付き合っていた男からのものだということはわかった。キャリアを変えたようだけれどメールアドレスには見覚えがあった。
何も書いていないからといってメッセージがないわけではなくて、メールを送ってきたということがなにかしらのメッセージなんだろうと思うと面倒な気分になった。

なにか用があるのかとも考えたがなにもないから空メールになったんだろう。単純に宛先を間違えただけだったのかもしれなかったがどっちにしろどうでもよかった。
ただ、急に(今は何の関係もない)昔の知り合いのことを思い出さされる、というのが煩わしかった。絶対に思い出したくないひどい過去だからということでも(ひどい話ならたくさんあるが)(そういうのもだいぶ忘れてしまった)、思い出すと心が乱れるからということでもない。今のわたしには彼についてなにを思う時間も持ち合わせていないというだけだ。

メールを削除しながら思い出したことがある。
就職して間もないころなので10年以上前のことだ。交際していた相手に「別れたい」といわれた。
彼のことを好いていたけれど、「いやだ」といったところでどうにかなるわけでもなく、わたしはそれを了承するしかなかった。ふたりで行くはずだった演劇のチケットを彼に買い取らせて、それで別れた。長くも短くもない10ヶ月。

それで別れたんだけれど、わたしは彼をまだ好きだと思っていたから、やっぱりしばらくはぼんやりしたりため息をついたり鼻をすすったりしていた。
それでメールを打ったんよね。
「花火大会、いっしょに行こうよ!」って。

「花火大会、いっしょに行こうよ!□□ちゃんに誘われたんだけど○○ちゃんも行かない?行こうよー」って。

彼は○○ちゃんではない。
○○ちゃん宛てのメールを間違えたふりをして彼に送ったのだ。
まったく、何を思ってそんなことをしたのか。「間違えて送ってるよ」という返事がほしかったのか、「あんたなんていなくてもわたしは楽しくやってるから」とでも言いたかったのか。
とにかく、間違えたふりをして別れた男にメールを送りました。まあなんでもいいから反応が欲しかったのかな、そのときは。「来ないってわかってる、だけどもしかしたら」って思ったんかね、そんときは。きもいね。ほんときもい。
(あなたと行きたかったのにね)って言いたかったのか?まさか、そんな、きもいこと、まさか。

で、「送信しました」という表示を見たしゅんかん、「何をやってるの?!」「何をやってるのわたしは?ばかなの?しぬの?」って、なんていうか、我に返って?うわー!てなって今送った、送信済みのメールを削除しました。相手には届いてしまっているので意味はないんだけど、そんなはずかしいもん見たくない、死ぬる、つって。
そこでもう「きもいな!」って自分を取り戻したわたしは、そのときからぼんやりしたりため息をついたり鼻をすすったりのをやめました。彼から連絡はありませんでした。花火にも行ってません。だれとも行ってません。

ほんと失恋のぼんやりには気をつけないといけない。頭がおかしくなるよ。なんつうか、もう、さむい。

あと、日記の下書きを間違えて友達に送るのもいけない。頭がおかしいのかって思われるよ。なんつうか、もう、しにたい(インターネットのおともだちだったので一命を取りとめました)。
飼う女
3匹の猫を飼っている。オスの松、その子、竹と梅(名前は仮)。竹と梅は半年違いで生まれた姉妹で2匹はおなじ色の毛皮を着ている。
子供たちの母親は花(仮)というのだが数年前に病気で死んだ。

*****

その頃は自由に外を出歩いていた松はよくそのへんの猫を連れて帰ってきて自分のエサを食べさせたりしていた。松が友達を連れてくるのはめずらしくないことだったが、15年ほど前のその日は、一匹の雌猫を連れてきた。
首輪をしていたので雌猫がどこかの飼い猫だということはわかったのだけれど、猫はその日から男の家に居ついてしまった。おうちのひとが心配しているから帰りなさいといってもねっころがってニャーと鳴くだけだった。

雌猫の首輪には名前も連絡先もかかれていない。男は近所に「ねこあずかっています」と張り紙をしてまわったがだれからも連絡はなかった。
男は雌猫に花という名前を付けて住まわせることにしたが、家に来たときにすでに花は妊娠していた。張り紙にもそのことを書いていたので連絡がこなかったのはそのせいだったかもしれないと男が言っていた。

それでそのまま花は、男の家の押入れで、竹ときょうだいを産んだ。子猫たちはみな里子に出されたが竹は貰い手がつかなかった。尻尾がないからかもしれないと男は思ったそうだが、むしろそれが竹のチャームポイントだとわたしは思っている。

それから半年後、花はまた子を産んだ。避妊手術を受けさせなければ、と考えていたのにその機会をうかがっている間にまた妊娠していたのだ。困ったなと思っているうちに花はするすると子猫を産んだ。

子猫が生まれて間もないころ。
男が2階で作業をしていると子猫のか細い声が聞こえる。猫母子は階下にいるはずなのに、と振り向くと畳の上を子猫が這っていた。驚いていると花が子猫をくわえて階段を上がってきた。生まれたての、まだよちよち歩きの子猫たちを連れてくると、「面倒みておいて」と男に鳴いて花は遊びに出ていった。
その後も、まだ乳しか飲めない子猫に外で捕ってきた鳥を与えたり(寝床の箱にドサリと放り込んで、花は外に遊びにいく)、なかなか乱暴でいいかげんな子育てをしていたそうだ(一度目の出産のときは甲斐甲斐しく子の世話を焼いていたのに)。花かわいい。

*****

2回目の出産で生まれたのが梅だ。「子猫もらってください」の広告見ました、という若いカップルに引き取られていったのだが、一年ほどして男の家に戻ってきた。若いカップルの同棲か…、と思った男が梅を渡すときに「もし飼えなくなるようなことがあれば連絡ください」と言っておいたのだ。
彼と別れたので飼えなくなってしまいましたと梅を連れてきた女の子が言った。

そういうわけで梅は出戻ってきたのだけれど、自分らは親子だ(きょうだいだ)ということを猫たちがわかっているのかどうかは見ていてもよくわからない。

大きくなって戻ってきた梅は竹によくいじめられた。今はもう2匹とも15歳の年寄りなので派手なけんかはしないが、竹は梅にガンを飛ばし、梅は竹の鳴き声をきくと体をこわばらせる。2匹の間には常に一定の距離が取られている(梅が逃げることによって)。

竹の寝床はリビングにある。それで梅はリビングに入るのをいやがっていたのだが、半年ほど前からこの部屋で寝るようになった。
猫たちの仲がよくなったわけではない。相変わらず竹は梅を「気に入らない」という顔でにらみつけ、そうすると梅は高いところに逃げる(竹はジャンプが苦手なので追いかけられない)。
それでも梅が前ほどはびびっているかんじはなくて、むしろときどきふてぶてしい顔をみせるようになった。急にちょっと(神経が)太くなった感がある。

思い返すと、梅がリビングに入り浸るようになる少し前、竹の元気がないときがあった。多分そのときに一度だけけんかに勝ったのだ、梅が。振り上げた前足がたまたまうまく竹の目にでも当たったとか。それで梅が調子に乗り始めたのでは、とわたしと男は話している。ほんとはどうかわかんないけど。

梅はべたべた甘えてくることはしないけど、しずかにそっと足元に触ってきたりするところがかわいい(竹は「かまえー!かまえー!」「あそべー!あそべー!」とギャーギャー鳴くタイプ)。
だけどべつに奥ゆかしく控えめな性格というわけでもなく、おやつをもらえるまでしつこく鳴き狂ったり、イラッとするとにんげんの顔面を殴ってきたりする。
15年育ててきた男によりも、5年の付き合いのわたしのほうに懐いているのも梅のかわいいところだ。

*****

おじいさんの松のはなしをしようと思って書き始めましたが長くなったのでこのへんで。

猫、ここにいます→http://d.hatena.ne.jp/herbstmonet/searchdiary?word=*[%C7%AD]


ひく女
風邪をひいています。
こないだ、このまま悪くならずに治るだろうって書いたけど、
その直後から発熱・咳の症状が出てきて、えーうそやん、て思って、今すぐ床に入って体を休めないといけないと思って、思いながら遅くまでテレビを見ていました。金曜の夜だったからです。

それで土曜日はいつもどおり早めに起きていつもと同じ朝食を摂り、調子が悪いことを確認して二度寝をしました。
昼すぎに起きておなかが少しすいていたのでお菓子箱をあさって発見したドンタコスを食べました。ガッサガサ、バリバリの乾ききった食感と香辛料と調味料の刺激が喉にすごく悪い感じがしました。弱っているところをさらに痛めつけているかんじがありました。でもおいしいよ。
ベッドに戻ろうかと思いましたが寝っころがっているのもたいくつなのでパソコンの前で作業をしていました。喉が渇くと咳が出てつらいのでずっと水を飲んでいたらずっとトイレにいきたくてたいへんでした。
夕食のあと、男がのど飴とトローチとアイスクリームとグミを買ってきてくれたので、アイスで喉をあまやかし、グミも食べました。グミがあったので。この日も夜中までテレビをみました。夜中まで、というか夜中からみはじめました。栄養が必要だからさ、栄養が…と言い訳をしながら夜中にから揚げを食べました。男が「まじかよ?」という顔をしていたので「血が足りねえ、って、ルパンがさぁ、ね?」といいながら食べました。必要なのは揚げ物ではなく、体を休めることだったと思います。体調を崩しているのに体重が増えるというふしぎ。

そんなかんじでしたので日曜日もよくはなっておらず、
正午ごろに起きてお菓子のホームラン王(ハスカップ味)を食べてトローチと氷を舐めて過ごしました。「うち、きょうしんどいですねん(だから家事はさぼっちゃいますね)」ということをアピールしつつ(だれにもやれとはいわれてない)、夕食はしっかり食べました(これはわたしの母も祖母もそうなのですが体調悪くても食事はしっかり摂れる体質です)。
夕食は男のお母さん(弘美)(2階に住んでいる)がつくってくれていっしょに食べました。別にわたしがしんどくて料理ができないので弘美にお願いしたということではなく、もともとこの日はそういう予定でした。食後、「ミーコちゃんしんどいでしょ、わたしが片付けるから」という弘美に対して男が「いいよいいよ、やるから」と言うと弘美がびっくりしていました。ゲボゲボ苦しんでいる女にやらせるだなんて、なんという…!という顔でした。
もちろん、男は「いいよいいよ、その女にやらせるから(ただの風邪だろ?病人ぶりやがって。甘えてんじゃねえぞ、ったく。母さんは座っててよ)」と言ったわけではなく、「いいよいいよ、俺がやるから」といったのですが、「ええっ!」ていう弘美の顔がおもしろかったのと、あなたの息子、そんなにクズじゃねえよ?と思って笑いました。わたしの体調に関係なく、弘美の息子は毎日皿洗いをしてくれています。
まあそんで日曜も風邪は治らず、明日どうすっかなー休むほどはしんどくないんだよなーつーか有給使い切ったんだよなーいや6月に支給されるんだったわ、じゃあ休めるわ、でもなーと思いながら寝ました。喉がやられて高い声しか出なくなったので、いまなら逆にいい声がでるのでは、と思い、もののけ姫とレリゴーのやつ(レリゴーのところしかわからない)を歌いました。歌ってから寝ました。

そんで今日。月曜ですがやっぱり治っておらず、
しかし休むほどではないので頭痛薬を飲んで会社に来ました。まだ少し熱があるのか汗がじわじわにじんできています。10年前から毎日寝起きに体温を測っていますが測りながら眠ってしまうので数値を確認したことはありません(体温計に記録されるようになっているがそれをあとから見返すこともない)(なんの意味もない)、なので今日の体温も、計ってはいますが、わかりません。
で、会社です。受付の内線がわたしのところにまわってくるようになっているので、酒とタバコで焼けたババアみたいな声でお客様の対応をしています。まったく潤いのない、ガッサガサの声でご案内をしております。
仕事はあいかわらずひまなので、体に負担を感じることも一切なく、やはり休む必要などありませんでした。だれともしゃべらないので調子の悪い喉を使うこともありません。受付の電話も一度しか鳴りませんでした。
急ぎの業務もなく、やはり休んだところで支障はなかった気がしますし、むしろウィルスを撒き散らして、仕事があるひとたちに迷惑をかけそうなので来なければよかったのでは?と思っています。
体調に関係なく、わたしの仕事はひますぎるからわたしは会社に来なくてもいいのでは?と思っています。



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